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京都市中京区T邸造園工事 石積み編

こんにちは!大平です!

どんどんブログを追加していきますよ〜^ ^

さてさて今回の現場は、京都市中京区T邸の造園工事です。
今回は前編と致しまして、『石積み編』をお話しします!

今回のT邸の石積みでは恵那石(えないし)を使用しています。
こちらが恵那石でその後ろが今回造園工事をさせていただいている石積みです。

京都市中京区T邸造園工事 石積み編

この写真の恵那石はすでに多少の加工が施されていますが、加工前は横約900ミリ、縦約400ミリ、厚さ約150ミリの大きく荒い板石の状態でした。

石積みのお話…の前にちょっと恵那石について補足説明したいと思います。
私はてっきりこの石は御影石(みかげいし)だと思っていたのですが、先輩に聞いてみたらびっくり!似てはいるけれど違う種類の石、恵那石だったのです。
「恵那石」、「御影石」と検索していただければ詳しい説明や画像が出てきて比べられると思いますが、私から要点を説明したいと思います。

恵那石
(恵那石)
御影石
(御影石)

上の写真が恵那石、下の写真が御影石です。違いがちょっと分かりずらいですね(汗)
恵那石の写真中央の黄色味がかった恵那石と比べて頂ければ違いがわかると思います。そうなんです。恵那石は御影石と比べて少し黄色味がかっているのです。しかしほぼ同じに見えますよね。それもそのはず。厳密にいうと恵那石も御影石も同じ花崗岩なんです!。違いは採れる産地です。
恵那石は岐阜県中津川市蛭川で採れるもので、御影石は主に兵庫県の六甲山地で採れるものです。
詳しく知りたい方は下記のWikipediaのページをご参照くださいませ。
「恵那石」→恵那錆石 – Wikipedia
「御影石」→花崗岩 – Wikipedia

要点をご説明したところで本題に入りたいと思います。
今回、恵那石の加工にとても時間がかかりました。というのも、花崗岩はとても硬く、加工に時間がかかる石材だからです。
石加工の手順をご説明いたします。

①石の寸法を測り墨出し
②サンダーを用い石を切る
③石道具を用いて細かい加工を施す

といった大まかな流れです。

ではまず①石の寸法を測り墨出し、です。

石の寸法を測り墨出し
石の寸法を測り墨出し

当たり前ですが、最初に行う寸法を測り間違えたらどうしようもありません。大きすぎても加工に時間がかかりますし、小さかったら使い物になりません。かといって寸法通りに切ってしまいますと、石の微妙な凹凸を加味しない寸法で切ることになり、わずかな隙間を生じさせてしまいます。ですので大きすぎない且つ、小さくない大きさに切ることが大切です。「大は小を兼ねる」ですね笑。当方は寸法+15ミリ程度大きく切って「小さすぎ」を回避していました。
今回の石積みのデザインでは、すべて四角の石ではなく、様々な角度をつけた石積みのデザインでした。よってさらに加工の難易度が上がります笑。様々な角度の測り方はありますが、私は上部添付の写真のように「さしがね」を用いて「何ミリ下がって何ミリ右に行く」のように寸法、角度を出していました。直角と三角形を見ていると「高校の時習ったな~」と記憶がよみがえりました笑。
と、このようにおおよその寸法を測り、墨をつけます。「墨をつける」とは「しるしをつける」ということです。墨といっても実際に墨を用いることはなく赤鉛筆を用いています。業界用語のようなものですね笑。

 こうして①が終わり工程②「サンダーを用い石を切る」に移ります。
サンダーとは取り付けた刃を高速で回転させ切ることのできる機械です。

サンダーを用い石を切る

こちらが「サンダー」です。写真では見えにくいですが、石の左の辺近くに赤い線が見えると思います。これが墨出し後の線でサンダーを入れるラインです。

サンダーを用い石を切る
(サンダーを用い石切り)

 このようにサンダーで石を切っていきます。しかし石の厚さ的にサンダーのみでは石を切り落とすことはできません。
サンダーで石に切れ目をいれたら…

サンダーを用い石を切る

矢、楔を用いて石を割り落としていきます。石に刺さっているのが矢、楔で右手に持っているのが石加工には欠かせない「石頭(せっとう)」です。
余談ですが、この石を割り落とす瞬間がたまらなく気持ちいです笑。石頭を振り下ろしていくと矢がどんどん食い込んでいき、「そろそろ割れる!」というのがわかります。その直後、バガンッ、ときれいにラインに沿って割れるのです!。石の加工の楽しい瞬間の一つだと思っています笑。

石を大まかなサイズに切ったら最後の③石道具を用いて細かい加工を施す、を行っていきます。

石道具を用いて細かい加工を施す

この③石道具を用いて細かい加工を施す、では私が気づいたいくつかの手順があります。
それは、

  1. 石の下側(底)から加工し、下の石との噛み合わせ、高さを決めていく
  2. 側面を微調節し石をはめ込む
  3. 石の天場(上部)を細かく加工する

といった手順です。

 私が気づいたことですので100%正しいかはわかりかねますが、この手順には理由があります。
下から加工する理由は「高さが変わると石の横幅が変わるから」です。伝えづらいですが、説明いたします。
上辺が下辺よりも長い台形の石があったとします。その石の下側(底)を切ると上辺の長さは変わらず、低くなり、下辺の長さが長くなります。そうした場合、横の石との距離が近くなります。言い換えると、「側面の角度はそのままに、石が下りてくる」ということです。先に石の下側を加工し高さを合わせることで横幅も合わせることが出来るのです。「横から加工を始めても同じでは?」と思ったかもしれませんがそれは二度手間になります。なぜかと言いますと、横から加工し、横を決めてしまうと、次に高さを合わせることになります。そうすると下側を加工し、また横幅が詰まってきてしまうから(横幅のサイズが大きくなるから)です。
「天場を加工すればいい」と思うかもしれませんが、写真の場合、加工している石は最上部の石で、天場を加工しなければいけなくなります。それはできるだけ避けたいのです。
なぜなら、「できるだけ加工せずに自然な風合いを残した面を見えるようにしたい」という思いがあるからです。石道具で少しずつ割っていけば自然な風合いのように見えるかもしれませんが、自然に割れた面にはかないません。
といった理由で私は1石の下側(底)から加工し、下の石との噛み合わせ、高さを決めていく2側面を微調節し石をはめ込む、という流れがベストであろう、と結論づけています。

この③石道具を用いて細かい加工を施す、では石道具を使っていきます。

石道具を用いて細かい加工を施す

上部写真内、左手に持っているのは「コヤスケ」と呼んでいる石道具です。写真内で行っているのは「当て割り」という割り方です。コヤスケを割りたい箇所に当てがい、石頭を振り下ろすことで当てがった箇所のみを割っていくことが出来ます。
それでもちょっとした凹凸は生じてしまうので…

石道具を用いて細かい加工を施す

左手に持っている「はつりのみ」という石道具を用いて細かい微調節を加えていきます。
このように、加工しては石を石積みに当てがい、下ろしては加工しまた当てがい…と何度も繰り返してバチッとはめ込むのです!。

細かな凹凸を確認中
(細かな凹凸を確認中)

そうして時間をかけ加工し石を据えることが出来ると…

石道具を用いて細かい加工を施す

ようやく完成!となるわけです笑。
いかがでしょうか。ぴったりと石が積まれています。
ここまで読んでいただいた方には、とても時間がかかるな、と伝わったと思います。私も苦労をして石を加工しました…ですがこの写真のようにバチッと石がはめ込まれるとそんな苦労もどこへやら、大変な達成感を得ることが出来ます。

 ここで石積みの美学(と表現いたしましょうか)を説明したいと思います。
石を積んでいくにあたり、綺麗に見せるポイントとして、「目地(めじ)」が重要になってきます。目地とは石と石が触れている隙間のことを指します。

上部添付の写真を加工した写真
(上部添付の写真を加工した写真)

この目地が詰まっていれば詰まっているほど綺麗に見えるのです。また、見た目だけの問題ではなく、耐久性にも関係してくる問題です。というのも、石同士が触れ合っている面が多ければ多いほど互いに支え合い、崩れにくくなるからです。このことを踏まえて先ほどの完成写真をご覧ください。いかがでしょうか。目地が詰まっていて綺麗に見えるのではないでしょうか。
この目地を意識していただけたら、今後出先で目にする石積みに「職人の技」を体感することが出来るのではないでしょうか。

 今回の恵那石の加工、石積み作業は大変珍しい仕事だったようです。基本石は石屋さんが加工し、一度組むことが出来ることを確認した後、我々のもとに届けられる流れのようですが、今回は我々が仕入れ、加工することになりました。私としても大変貴重な体験をしたと感じています。
珍しい仕事ではありましたが、我々庭師、造園屋は庭に関係するすべてのことが仕事です。建物があり、その周り全てですね。現代風に言いますと「エクステリア」。そのすべてに流通し、そのすべてにプロフェッショナルでないといけません。当方はまだまだ修行が足りないということを身に染みて感じました。
これから一層の努力に励みたいと思います。

今後は「T邸石積み編」の次、「T邸植栽編」を予定しています!お楽しみに~!大平でした~